自衛隊の闇、不正を暴いた現役自衛官

(ナレーション)

もしも所属する組織の不正を知ったら身をもって立ち上がりその不正を正す勇気を持てるだろうか。巨大な組織に一人立ち向かった男がいる。

三等海佐:私が属する海上自衛隊という組織がここまで嘘に嘘を重ねてしまうからには、やはり大きな問題を抱えているのではないかと。やはりこの一枚の手紙で一線を超えてしまうかもしれないという思いがありました。

(ナレーション)
男は信念に誓って何があっても諦めなかった。正義を貫いた自衛官の戦い。2004年10月27日、午前10時32分。21歳の海上自衛官が自殺した。「お前だけはぜったい呪い殺してヤル」ホームには先輩隊員を名指しした遺書。人形の頭と胸に何かで突き刺した穴が開けられていた。Tさんは子供の頃から明るく元気なスポーツマンだった。趣味はギター。ロックバンドGLAYの大ファンだった。20歳の時、得意な英語を生かして「国際貢献がしたい」と自衛隊に入隊。

母親: いろんなお誕生日とか母の日とかプレゼントを買ってくれるような子で自衛隊に入ってからも自分で稼いだお金で親にプレゼントできたっていう、自分でもなにかすごい嬉しかったみたいですね。なにか。あんまり自分の感情を出さない子なんですけど、その時はすごく嬉しそうで。

(ナレーション)
4ヶ月もの厳しい教育訓練、一日も休むことはなかった。希望に満ちていた。そして横須賀基地の護衛艦”たちかぜ”に配属。戦闘指揮を行う部隊の一員となった。入隊当時の手帳には喜びの言葉が並ぶ。「横須賀に決定教育隊修業」しかし”たちがぜ”に乗って間もなく「航海中は地獄」。その言葉を最後に手帳は真っ白。配属からわずか10ヶ月、命を断った。自殺前夜、親友だった元自衛官の男性はTさんから飲みに誘われた。いつもと様子が違ったという。

Nさん:『俺は自殺することに決めたから』みたいな感じで、話し出して『こいつらは絶対に許せない』みたいな感じで紙に名前が書いてあって。「死ぬの怖くないの?」って話をした瞬間になにか突然怒り出して『怖いに決まってんだろ』って、突然怒鳴りだしたりとか・

(ナレーション)
親友は自殺をやめるよう説得を続けた。Tさんは『明日はやめる』と帰っていった。しかし翌朝死を選んだ。

Nさん:自分に対して「あーあ」っていうのが結構ありましたね。何か止めれたんじゃないかなっていうのはずっとあって。

(ナレーション)
自殺した駅のホームには遺書が残されていた。

Tさんの遺書:みんなへありがとう。もう人生を終わりにしたい。突然で皆に迷惑をかけると思いますけど決心がつきました。お父さんへ。今まで育ててくれて本当に感謝しています。お母さんへ。本当に産んでくれてありがとう。

(ナレーション)
遺書は感謝の言葉で溢れていた。しかしその文字が突然乱れ始める。たちかぜ電測員Sへ。

Tさんの遺書:お前だけは絶対に許さないからな。必ず呪い殺してヤル」

(ナレーション)
先輩隊員を名指し。人形が描かれ、頭と胸には穴が開けられていた。大切な息子の自殺。

母親:それは全く予測もしていなかったというか。大切な家族を置いていくような子じゃないって思っていた。ちょっと信じられなかったですよね。

(ナレーション)
”たちかぜ”艦内で何があったのか。先輩隊員に何をされたのか。2005年、両親は息子の自殺に関する調査資料を情報公開請求した。しかし出てきたのは、黒塗りの文書。およそ90枚。隊員たちが話した内容が”防衛機密”という理由で黒く塗りつぶされていた。

2006年、両親は真実を知り、自衛隊と先輩隊員Sを相手取り裁判を起こした。隊員の証言を集めるうちに明らかになってきたのは、エアガンでの暴行や恐喝。遺書に名指しされた先輩隊員Sから息子は標的にされていたという。弁護団はエアガンの威力を検証するためほぼ同型の実射実験を行った。

弁護団:電動ガンはRAS(Rail Adaptor System)MP5

(ナレーション)
自殺前夜を共にしたNさん。

Nさん:たまに撃たれたというレベルじゃなくて本当にちょっと笑えないぐらい撃たれていたりするから。ちょっとぱっと見何かの病気かと思うような紫色の斑点が背中じゅうにバーっとあったり、何があったんだろうと跡になってましたね。

(ナレーション)
狭い艦内では逃げ場もなかった。希望に満ちていた息子はどんな絶望を味わっただろうか。両親は調査を重ねてきた。息子が暮らしていた横須賀の街。借りていた部屋には何度か足を運んだ。その中から同僚の隊員から一つの手がかりを掴んだ。自殺後に自衛隊は”たちかぜ”全乗組員にアンケート調査を行なっていた。すぐに父親が”たちかぜ”の艦長に電話して「その内容を知りたい」と求めた。すると。

母親:艦長さんから『アンケートは破棄」という返事を頂いて、そういうとき主人がすごく怒っていたっていう、そういう記憶が鮮明に残っていて「なんで破棄するんだ」という事をすごく強く言っていました。普通だったらやっぱり原本ですから破棄するはずがないじゃないですか。

(ナレーション)
開示されたのは、記入前の紙、フォーマットだけだった。右肩には「用済み後廃棄」の文字があった。自衛隊からは「記入済みのアンケートからは、調査報告書の完成と同時に廃棄した」と説明された。アンケート結果を元に作成されたその調査報告書。そこには「Sの私的制裁等及び恐喝がTさんの自殺と関連しているという供述は得られなかった」とまとめられていた。

Tさんの自殺はSの暴行が原因だと主張する遺族側と、そうではなと主張する自衛隊側。法定では真っ向から争う形になった。裁判を支援する集会で父は人々に訴えた。

父親:あまににも自衛隊の中身がひどい。人権なんていうものはあの組織にはありえない。

(ナレーション)
息子の自殺から5年、父は持病を悪化させて亡くなった。裁判のストレスも加わり日に日に衰弱していったという。2011年1月26日。判決の日。21歳の若さで命を断った息子。判決を待たずに亡くなった夫。母は2人の無念を晴らしたい。くだされた判決は「不当判決」

Tさんの自殺の原因は先輩Sによる暴行・恐喝と認定。Sと自衛隊に慰謝料440万円の支払いを命じられた。その一方「自殺は予測できず、死亡の責任まではない」とし自衛隊の自殺に対しての責任は認めなかった。

母親:信じられないという思い。ちょっと頭が真っ白になってしまいました。

(ナレーション)
母はすぐに控訴を決めた。判決の一週間後、遺族側の弁護士のもとに一通の手紙が届いた。

弁護士:これが現物だよね。親展という事で送られてきた。冒頭で「私はかつてたちかぜ裁判で国側の代理人を務めた三等海佐です」これを見てびっくりした。

(ナレーション)
法定で自衛隊側の代理人、つまり弁護士役を務めた三等海佐からの手紙だった。三等海佐とは自衛隊では幹部クラスに当たる。『防衛省海上自衛隊は、いくつかの文書を原告側に隠しています。国民への忠誠心と嘘はつきたくない、という気持ちの狭間で葛藤に苦しんでいます。どうすればいいのか相談したい』最後に連絡先が示されていた。

弁護士:最初はほんとこっち側の情報を取りに来たスパイなのかなと思いました。

(ナレーション)
自衛隊が文書を隠しているという告白。手紙を出した海佐に話を聞くことができた。

三等海佐:この一枚の手紙で一線を超えてしまうかもしれないというのがありました。

(ナレーション)次瑛太は文書を隠している。弁護士に手紙を出した幹部自衛官は静かに語りだした。

三等海佐:私はかつて国の指定代理人、弁護士役でした。それで相手方の弁護士と連絡を取るというのは、いかなる事情があるにせよ掟破りかもしれないという思いはありました。

(ナレーション)
三等海佐は2006年に裁判が始まった当初、自衛隊側の弁護士役を務めていた人物だった。

三等海佐:裁判が終わった直後、情報公開室の女性の二等海佐仁呼ばれて、それで『今遺族から情報公開請求が起こされているんだけれども、この際アンケートについては破棄した事になっているのでフォーマットだけを開示した』というよな事を言われました。

(ナレーション)
「破棄したことになっている」それはどういうことか。

三等海佐:その後、裁判のために事件の資料を集めている過程で記入後のアンケートを目にしたので『破棄したことになっている』というのはこういうことかと思いました。

Q:その資料を集めている過程で実際にその実物をご覧になったんですか?

三等海佐:そういうことです。

(ナレーション」
アンケートとは、Sの暴行の調査のために隊員たちが書いた直筆のものだった。ある事務官が持参した。分厚いファイルの中に綴じられていた。という。海佐はこの時自衛隊の嘘に気づいた。やがて海佐は定期移動により裁判の担当から外れた。しかしアンケートが存在する事はずっと心に引っかかっていた。アンケートの存在に気づいて2年、ついに海佐はある行動に出る。

三等海佐:これはなんとか是正しなければならないという思いがあったと思います。もしかしたら不正を指摘すれば正直に認めてくれるかもしれないという。そういう期待もありました。

(ナレーション)
海佐がとった最初の手段は”公益通報”防衛省の通報窓口にアンケートの存在を訴えた。公益通報とは、いわゆる内部告発の一種。組織内の人間が通報をし違反行為を早期発見するための制度。通報したことで不利益な扱いを受けないように公益通報者保護法が定められている。海佐はこの制度を勉強し熟知した上で通報に踏み切った。しかい防衛省からの回答は「そのようなことはない」

三等海佐:まあ一言で言えば無力感です。

(ナレーション)
その二年半後、2011年1月26日、あの判決の日を迎える。

三等海佐:その日ちょうど一審判決の日。判決の内容次第では、もうこの裁判自体が終わってしまうかもしれないと。だから「アンケート隠し」について是正するとすれば、もうこれが最後のチャンスかもしれないと思いました。

(ナレーション)
判決が出る30分前、海佐はいてもたってもいられず2つ目の行動に出る。自衛隊の裁判全般を取りまとめる主席法務官を訪ねた。2人は向い合って座った。海佐はその時の録音を残している。組織に逆らえば不利益を被るかもしれない。自らを守るための手段だった。

三等海佐:実は今日判決のある事件の件で、実はあるのに「ない」といって隠している文書があります。これを隠し続けることのリスクを考えたら正直に公開すべきではないかと。

主席法務官」何を言っているかよくわからないんだけど。

三等海佐:実はあったんだけれども「ない」と言って隠した文書があるんです。「艦内生活実態アンケート」という手書きのアンケートなんですけど。

主席法務官:その話って僕に今言われてもさ、情報公開の手続きの中でやられていく話じゃないの?そういう事は異議申立て審査請求という話でしょ?

(ナレーション)
今さらどうしようもないという主席法務官。このやりとりについて自衛隊側は取材に対し「訴訟継続中のため答える立場にない」と回答している。海佐が説得を行った10分後、アンケートは破棄された事になったまま一審判決がくだされた。判決を知った海佐は、その日の内に3つ目の行動に出た。アンケートの情報公開請求。もう一度自分が請求すれば自衛隊は今度こそ出すのではないか。しかし回答は「用済み後廃棄」何も変わらなかった。

4つ目の行動は判決の一週間後、岡田弁護士を驚かせたあの手紙だった。「自衛隊は文書を隠しています」組織内で手を尽くした海佐は初めて外部への接触を試みたのだ。その知らせを受けたTさんの母は。

母親:真実が闇に葬られる。良心のある方が国側にもいたことがすごく嬉しくて、そういう方が出てきてくれたことを報告できてすごく嬉しかったです。

(ナレーション)
自殺の真相を握る直筆アンケート、遺族側はお控訴審の法定で一度アンケートの存在を問いただした。しかし自衛隊側は相変わらず「用済み後廃棄」「存在していない」と言い続けた。一方国会ではアンケートについて質問が飛んだ。

照屋寛徳:廃棄の具体的な日時はいつなのか。廃棄は誰の指示、あるいは責任でなされたのか。

神風英男:誰がいつというお話でありましたが現段階でそれは承知をしておりません。この当該アンケートにつきましては右上の部分に「用済み後破棄」と記載がされている所でありまして。一般事後調査結果が完成された時点で用済みとなって廃棄された物と承知をしております。

(ナレーション)
「用済み後廃棄」を繰り返す自衛隊。もう裁判所に働きかけるしかない。海佐はそう覚悟を決めながらも所属する組織に最後の望みをかけた。2012年4月16日、再び主席法務官の部屋へ。前回の法務官は移動で替わっていた。その時の録音。

三等海佐:たちかぜの裁判の件、原告側が隠している文書があるとついてきているらしいと。

主席法務官:ああ、そう

三等海佐:隠している文書というのは確かにあるんです。

(ナレーション)

誠意は届くのか。文書隠しを公に訴えようとする直前海佐は上官の最後の説得に訪れていた。

三等海佐:たちかぜの裁判の件、原告側が隠している文書があるとついてきているらしいと。

主席法務官:ああ、そう

三等海佐:隠している文書というのは確かにあるんです。隠している文書はこの機会に出してはどうかと。私はここで担当してちあときから心残りなんですが。

主席法務官:どういう形で残っているんだろう。もし残っているんだとしたら何かあろうんだろうな。聞いてみないとわからないな。ちょっと探してみるよ…どういう対応をしているかも含めてね。

アンケートを正直に出してくれたら裁判所に働きかけるのはやめよう。海佐は最後の望みをかけた。しかし主席法務官から連絡はなかった。このやりとりについても自衛隊側は取材に対し「訴訟継続中のため答える立場にない」と回答している。この二日後海佐は最終手段に出た。東京高等裁判所に実名で22ページの陳述書を提出アンケートは破棄したことになっている」と言われた事。しかしアンケートがある事に気づいた。当時の担当者の名前を出し克明に綴った。最後のページは自衛隊に向けられていた。「今からでも遅くないので嘘をついていた事を認め文書を出してください」

意を決して提出した陳述書。しかし自衛隊は裁判所に対しなおも誤った事実認識だと主張。嘘つき同然の扱いだった。万策尽きた。陳述書を出した二ヶ月後6月21日、事態は急転する。当時の海上幕僚長が異例の臨時会見を開き「アンケートが見つかった」と謝罪した。これが7年もの間眠っていた”たちかぜ”乗組員190人のアンケート。先輩隊員Sが定員たちに対し日常的に暴行を加えていたことが明らかになった。

三等海佐:嘘に嘘が重ねられていって最終的に身動きが取れなくなった。その上で実際嘘がバレてしまった後の大混乱。海上自衛隊の目を覆わんばかりの大醜態。

(ナレーション)
Tさんの自殺の原因を解明するための証拠がようやく手に入った。新たに提出されたのはアンケートの他にも200点。厚さ17センチにも及んだ。アンケートには、Tさんが受けていた暴行についても複数の目撃証言があった。モデルガン、関節技、モデルガンで数回、エアガンで数発撃っていた。また隊員の聞きとり調査結果からはこんな証言も出てきた。Tさんは自殺するかもと感じていたが何も仕様がなかった。

Tさんと自殺前夜を共に過ごした元自衛官のNさん。自分のアンケートを確認しに弁護士事務所を訪れた。

Nさん:これかなと思うんですけど。

(ナレーション)
「エアガンで執拗に撃つの」文字。自衛隊がNさんに行った事情聴取書も出てきた。そこに書かれていたのは自殺前夜のTさんとのやりとりだった。

Nさん:やっぱり持ってたんだなっていう。本当に隠してたんだなっていうのは、ちょっと前いた所に居た人間にとってはちょっとショックですけど。本当に捨てたんじゃなくて持っていたっていうのがわかって嫌ですね。

(ナレーション)
存在しないとされていたアンケートがなぜ出てきたのか自衛隊によればその理由は不適切な文書管理、行政文書として管理せず個人的な執務の参考資料としてため情報公開請求では発見出来なかった。つまり「隠蔽ではない」と結論づけたのだ。今、自衛隊員の自殺が後を絶たない。理由は様々だが2012年度は83人が自殺。一般の国家公務員の自殺率の二倍以上。4-5日に一人のペースだ。過去19年の1994-2012年の自殺者は1500人に達した。その内の一件が1999年、護衛艦”さわぎり”で起きた。21歳の隊員が艦内で自殺した。複数の上官からひどい暴言を受け続けていたことが明らかになった。母親の樋口のり子さん。自衛隊を相手取りいじめ自殺の責任を問う初めての裁判を起こした。

樋口のり子:許せないですねやっぱり。自衛隊は許せないですね。

(ナレーション)
2008年「さわぎり」裁判。二審で逆転勝訴、。判決は上官らの言動は指導の域を超え違法。直属の上官は安全配慮義務違反。自衛隊に自殺の責任があると認めた。自殺した隊員の遺族が同様の裁判を起こすケースが全国で増えている。三等海佐に自衛隊は文書を隠していると訴えた。その事がメディアで報じられると当時の上官から圧力を受けたという。

新聞に海佐の記事が掲載された日、当直の報告に行くと、上官がその記事を手に話しかけてきた。海佐は自分を守るためにこの時も録音をしていた。

上官:これお前だよな?

三等海佐:はい

上官:なんでこんなことしたの?

三等海佐:文書を隠しているという事がずっと心に引っかかってて、正直に出してくれることをずっと期待していたんですけれど、どうも最後まで逃げきる考えのようだったので、私としても軸獣の決断でこうせざるを得ませんでした。

上官:あのさ、あなたの気持ちはわかるよ。組織として隠蔽してると。そういうことがあると。僕はちょっと事実は知らないんだけど。ただね、あなたは組織の中の一人だよな?組織が組織を訴えるっていうんだよな。ひとつの構図から見ると。それっておかしくないか。お前?お前はこの組織に属してるんだぞ?

三等海佐:それはそうです。私自身も身を切るような思いです。

上官:だからもしやるんだったら、あなたが自衛隊辞めてね「こういうことがある。そういった組織だ」ってやるべきじゃないのかな?中にいてこういうことするっていうのは非常にまずいよな。と俺は思うけど、俺だったら。やれるんだったら自分がそんだけ身を切られる思いだっていうんなら組織を離れてやるべきだ。組織の中でやっちゃいかんよ。

(ナレーション)
この上官に取材したところ、海佐の上司だった事は認めたもののやり取りの有無については「何も知りません」と繰り返した。去年6月自衛隊から海佐に届いた被疑事実通知書。懲戒処分の検討が始まったという。海佐は裁判所にアンケートの存在を裏づける内部資料のコピーを提出していた。そのコピーを持ちだしたことが文書管理上不適切だという。処分はまだ出ていない。取材に対して自衛隊は「公益通報をしたことを理由として不利益な取り扱いを行うことはない」と回答している。処分があれば海佐は断固として戦う覚悟だ。今も組織にとどまり現役を貫いている。

去年2013年11月、勤務を終えた海佐は、遺族方の打ち合わせに臨んだ。海佐が次回の法定で証言することが決まったのだ。自殺の責任を争点として始まった裁判が組織による隠蔽をも問うことになった。現役の幹部自衛官が所属する組織の隠蔽を自らのことがで訴える異例の承認だ、母はかつて海佐から言われた言葉が忘れられないという。

母親:「お母さん、私に感謝しないでください。」って初めてお会いした時に最後に言われたんですよ・「私は組織を良くするためにしていることですから」って。その言葉にはすごく感銘を受けましたね。

(ナレーション)
海佐は信念を貫くために法定に立つ。2013年12月11日。海佐が証人として法定に立つ日

三等海佐:やはり不安もあるし緊張もしてます。とても落ち着いているとは言えないですね。

(ナレーション)
裁判所には傍聴券を求めて人々が詰めかけていた。Tさんの母も期待が高まる。法定は遺族側弁護士の質問から始まった。

弁護士:情報公開請求の担当者は遺族に開示した文書についてどんなことを言っていましたか?

三等海佐:はい。たちかぜのアンケートについて「破棄したことになっているのフォーマットだけ開示した」というような話をされました。

弁護士:その話を聞いた後、あなた自身アンケートの存在を確認しましたか?

三等海佐:はい。事務官がたちかぜ事件に関する一連の書類を持ってきたとkにコピーして、あとでそのコピーをあらためたときに記入後のアンケートがあることに気づきました

弁護士:原告側にたって証言することに悩みはなかったですか?

三等海佐:全員が口裏を合わせ、私が嘘つきに仕立て上げられて破滅するのではないかという恐怖がありました。また組織を裏切ったということで懲戒処分などを受けるという恐怖もありました。

(ナレーション)
海佐は一貫して「アンケートは隠蔽された」と証言した。拳をしかと腰の両側に構えたまま。それは戦う自衛官の姿だった。

三等海佐:率直な感想を言わせていただけば、違法行為を是正するのにここまでしなければならなければならなかったのかと。その気持ちのほうが強いです。

(ナレーション)
証言を終えて海佐は晴れやかな顔をしていた。

Q:職場に行くの怖くないですか?

三等海佐:いやもう。なにか不思議なものでね。私のことを懲戒処分にしてやろうとか力んでいる上層部がいる一方で私の同僚なんか自然に接してくれるんで普通に仕事をしているような状態なんです。まあ不思議なもんでね。多分明日も変わらない一日が来るような気がします。

(ナレーション)
組織的な隠蔽ではないのか。2014年2月4日。改めて海上自衛隊の見解を尋ねた。

河野克俊:このアンケート事案が発覚いたしまして調査を致しました。その結果隠蔽ということではないと。飽くまでも業務不適切の見解を得ていますので、隠蔽とは考えておりません。

2014年1月27日。判決前、最後の法定が開かれた。息子が亡くなって9年の歳月が過ぎていた。母は今も変わらない悲痛な思いを訴えた。

母親:自衛隊の実態を知れば知るほど息子が自衛隊という組織に殺されたんだという悔しさと怒りでいっぱいです。息子の無念の思いを私は親としてなんとしても晴らさなくてはなりません。海佐の勇気ある告発は大きく心を動かされた出来事でした。正義を貫かれる方が自衛隊に居るという事が私達にはこの上ない大きな励みになっています。いじめによる自殺という悲しい出来事が今後繰り返されないようにするためにどうか大切な息子の命を無駄にしないでください。私の残された人生。前を向いて歩んでいける力をいただけつ判決が下されることを私は心から信じています。

(ナレーション)
最後の訴えを終えて母は息子と夫の墓前に報告に訪れた。自殺の責任は自衛隊にあるのか。証拠は隠蔽されたのか。判決は4月23日に下される。一人の自衛官が巨大組織に立ち向かった。

三等海佐:私は組織のために仕事をしているわけではないので。国民のために仕事をしているつもりでいますので、私の態度は矛盾したものではないと思っています。

(ナレーション)
正義の前に横たわる深い闇。光を当てなければ闇は永遠に晴れることはない。

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